今日も普通の日常

大学生のモクソンが起こったことを綴ったり、思ったこと、読んだ本や映画、ゲームなどの感想を書いたりするブログ。つまるところ自分の記録。

「左ききのエレン」は社会に生きてる全員への物語だ (もしくは、読んだことない方への紹介)

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引用:
左ききのエレン|かっぴー|cakes(ケイクス)


左ききのエレン」という漫画が面白すぎる件について。

cakes.mu


cakesにて連載中のWeb漫画「左ききのエレン」は皆さん知っているだろうか?
この作品は、今年出会った漫画の中で一番面白い(熱い)のではないのだろうか?と私の中で話題の作品だ。

今回は読んだことない人に向けて、『まだ「左ききのエレン」を読んだことない人は物凄く面白く突き刺さる物語なのでぜひ一読して欲しい。』という事を伝えるために、紹介をしたいと思う。


そもそも、「左ききのエレン」とはどういう漫画なのだろうか?

左ききのエレン」の連載サイトcakesでのあらすじにはこのように書いてある。

左ききのエレン
天才になれなかったすべての人へーー。

朝倉光一は、大手広告代理店に勤める駆け出しのデザイナー。いつか有名になることを夢みてがむしゃらに働く毎日だが……。「フェイスブックポリス」で一躍話題になったかっぴーさんが挑戦する、初の長編ストーリーマンガです。


もう少し詳しくストーリーを話すなら、
芸大から大手広告代理店に勤めデザイナーとして働きいつかは有名になることを夢見る朝倉光一と、アメリカでアーティストとして有名になっていくエレンの2人をダブル主人公とした物語で、2人の視点を中心にして彼らの高校時代から20代後半(漫画内での現時点)を描いたものである。

ダブル主人公とはいえ、魅力的な登場人物が多い本作は群集劇チックであり、一言で「この作品は、彼らが〇〇を目指す作品だ!」みたいに言い切ることが難しい。しいて言うなら「波乱万丈な広告業界やアーティスト周りの一部分を2人の視点から語られた作品だ!」と言える。

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高校生時代の朝倉光一

詳しいストーリーは本編の方を読んでいただくとして、このあらすじで一番に注目したいのはキャッチコピーの「天才になれなかったすべての人へーー。」の部分だ。今考えると、このキャッチコピーほどこの作品のターゲットを表現した言葉はないと言えるほどピッタリなのだ。

なぜこのキャッチコピーがピッタリなのか(つまり、これに当てはまる人は是非とも本作を読んで欲しいのだが)を考慮しながらも、本作の魅力・注目したい点を3点挙げていく。


●魅力1:登場人物と作品の世界観

左ききのエレン」は先程も述べたように、2人の高校生〜芸大生を経た後に、広告業界とエレンの生きるアーティストの道の2つの視点が交互に描かれる。この2つの視点を豊かに描くために、はたまた彼らから見える社会のリアリティを突き詰めたのか登場人物の数はもの凄く多い。作者いわく、50人以上はいるらしい。

cakes.mu

上の人物相関を見てもらったらわかるが、作品としてはおそらく単行本にして10巻程度だが登場人物の出て来る数がかなり多い。あの「HUNTER×HUNTER」程と言わなくても、少し頭がこんがらってしまいそうである。突然、登場人物が増えていったりすることもある。
よく物語を楽しんでる時、最終回近くになって新キャラが登場する作品を知ってる人がいたら、そのような感じを想定してほしい(アメリカのドラマにこういった展開が多いような気がする)。こういった作品での突然の登場人物の増加に対し視聴者である私達は、根拠が感じられなかったり、違和感を感じることが時々あるかもしれないが、「左ききのエレン」ではそのような感じは受けない。そこに、このキャラが出て来るのは当然かのように毎回感じるのだ。

これは、物語の世界観が完成していると表現してもよいかもしれない。

この感覚は「HUNTER×HUNTER」、「スターウォーズ」、「咲」といった作品と近いものを感じる。今ここで挙げた作品を知っている人は分かると思うが、そこで描かれる作品の世界は物凄く広く広大である(登場人物が多い)、一方で主要人物以外の登場人物それぞれがただ物語を動かすための装置という意味を持つだけではなく、それぞれバックグラウンドがある(ように感じ)、彼らも一人の人間で何かこだわりを持ったり信念を持っている人間だと感じることが多い。
スターウォーズ」や「咲」に多くのサイドストーリーが作成されるのは、世界観も素晴らしいことながら、主人公以外の登場人物のバックグラウンドが本編でも一杯感じられるからであろう。

左ききのエレン」もこれに近い。本作は、おそらく作者が社会人経験豊富のためなのか、主人公の一人の光一視点で描かれる広告業界がほんとにリアルであり、そこに出て来る登場人物がほんとうにいるように感じる。この現実世界から広告業界やアーティスト業界?の一部分を切り取りそれを下地に漫画を書いてるようだ。
「登場人物が勝手に動き出す」という言葉があるがその通りで、物語世界が主人公と違う所でも当然のように広がっているため、登場人物が突然増えたとしても違和感を全く感じさせない、むしろ当然のように思えるという特色がある。また、ただそこに登場人物を出すだけでなく、所々に(というよりも頻繁に)多くの人物の回想が入ったり、番外編で主人公以外の人物に焦点を当てて書くことで、その人物に深みが出る。そのような回想がない人物に対しても少し彼らのキャラが見え隠れする一コマを入れることで彼らがどのようなキャラなのかすんなり理解できるような工夫が多く見える。

まさに、「左ききのエレン」は漫画のコマを上手く使いながら「キャラ」ではなく、「人間」を描いているのだ。

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最終章に出てくるヒカルさん。
こういう所から、彼女の仕事に対する姿勢などが見えてきたりする。そういったコマが多い。

●魅力2:魅せられる天才像

ダブル主人公の「左ききのエレン」だが、その内一人の主人公エレンはアーティストであり天才である。エレン視点で描かれる物語は他の天才や、天才に魅せられる人、天才をサポートする人などが多く出てくる。
おそらく私達ほとんどの人が実際に天才に会ったことがないだろう。天才はそこら辺にいるものではない。ましてや、天才がどのように考え、どのようなことに悩み、どのようなことを目標に生きているかといった内情は想像するしか出来ない。そのような天才がどのような存在なのかを見せてくれるのが本作である。
本作に限らず物語の魅力の一つは、私達が想像するしか出来ないこと、もしくは想像さえしたことないものを、理解しやすい形(つまり物語として)に落とし込まれるところにあると考える。

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引用:
左ききのエレン特別編「キャラクター相関図」|左ききのエレン|かっぴー|cakes(ケイクス)

本作には主に3人の天才が出て来る。モデルの岸あかり、写真家の佐久間威風、そしてアーティストの山岸エレン。
*実際には、バンクシー(現実にもいる)や岸アンナも入るや、本当に天才なのだろうか?みたいな意見もあるかもしれないが、メインに出てくるという意味でこの3人を天才とする。

彼らが天才たる所以や、どういった点が天才なのかはそれぞれ異なり、本作にそれが描かれている。彼らの仕事に対する理念や熱意には興味深い点も多い。彼らがどのような存在なのかは、どのように物語に関わってくるかは、詳しくはここでは書かない(書けない)ので「天才とはどういうものなのか」、と気になる人にも是非読んでもらいたい。
また、作者かっぴーさんによる天才の描写が素晴らしいこともあって、彼らが本当に魅力的に見える。
私達が想像するしか無い天才のサンプルとして、彼らの仕事に対する熱意や信念が描かれているのも本作の魅力の一つといえるだろう。


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本作で岸アンナが提示するクリエイター指標なども面白い。
作者かっぴーさんの考える天才像や天才と何なのかの考えがこういうところからも感じれる。

●魅力3:社会に生きる人々(おそらく)全員が共感できる、光一サイド

初めの方に「天才になれなかったすべての人へーー。」というキャッチコピーがピッタリだ、と言ったと思うがこの辺が理由だろう。

エレン視点では天才や天才に関わる人々が描かれると書いたが、光一視点ではリアルな広告業界が描かれる(そこにも才能を持つ人間は多く存在するのだが)。その広告業界には光一のようなデザイナーだけではなく、営業やコピーライター、経営陣など多くの役職、職種が登場する。そこに出てくる彼らは、本当に格好いい。彼らは、それぞれ仕事に対する理念や考え方などが異なるものの、先輩に反発しながら、後輩に教えながら自分の仕事を行う。

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光一と神谷さん

もし、実際に社会で働いている人から観れば、本作と同様の出来事に直面したことを思い出したりするのかもしれない。仕事とは何なのか?とどのような仕事を自分がすれば良いのかと考えさせられるかもしれない。それは仕事をしていない人でも、例えば何かしらのグループワークで自分の信念を突き通したいときとかに、本作の出来事と同様の思いを抱いたりするかもしれない。

つまり、本作と私的の出来事が意識せずともリンクしてしまうのである。このリンクした結果、実生活に影響を与えるのか、本作に対する思いが変わったり共感したりするのはその人次第だろうが、このようなことはほとんどの読者に起こり得ることなのだろう。
人に影響を与えたりする物語は数多くあれど、実際の仕事や生活に対する自分の考えを振り返りここまで何度も共感してしまう作品というのは本当に稀である。
そういった意味で、社会に生きる人々のほとんどが共感できるので、是非とも読んでいただきたい。

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寺田さんの語る「集中力理論」などは本当に興味深い。
このように、各キャラの仕事に対する考え方や理念が、そのキャラに語られたり、仕事の姿勢を見せられることによって語られることが多々あり、感銘を受けることがある。

このように色々と語ったが、(ほんとは未読者向けだから2000字以内に収めようと思ったが倍になってしまった)、まず一読してみるが吉だろう。最新話(2017/09/01時点)はほとんどクライマックス状態であるため、ここから読み始めてよいのかわからないが、今なら2017/09/07まで、57話まで無料で読める。
もしくは、1話を読んでみるか、Kindleなどでまとめ買いしてみるのも良いかもしれない。


是非とも、気になった方は一読してほしい。

cakes.mu

左ききのエレン(1): 横浜のバスキア

左ききのエレン(1): 横浜のバスキア